窪田法律事務所 IPニュースレター

窪田法律事務所から定期的にニュースレターをお届けしております。

また、窪田法律事務所では公式noteも運営しております。こちらでも知財関連の最新ニュースをお届けしておりますので是非ご覧ください。

窪田法律事務所の公式noteはこちら(外部ウェブサイト)

特許ニュース

知財高裁が、システムの構成要素の一部であるサーバが海外に存在する場合に、当該システムの生産行為は日本国内で行われており、属地主義との関係において日本の特許権の効力が及ぶと判断した事例(知財高裁大合議判決)

 サーバおよび端末を構成要素とするシステムを被告が生産する行為が、原告の日本の特許権を侵害するとして、原告が被告に対して差止めおよび損害賠償を求めた事件において、知財高裁は、システムの構成要素の一部であるサーバが海外に存在するとしても、当該システムを新たに作り出す行為は日本国内で行われたものであり、特許法第2条第3項第1号の「生産」に該当するとして、原告の請求を一部認容した(知財高裁令和5年5月26日大合議判決(令和4年(ネ)第10046号))。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁が、後発医薬品承認申請中の差止請求権等不存在確認請求は訴えの利益を欠くと判断した事例

 後発医薬品の製造販売承認申請中の企業による、当該後発医薬品の生産・譲渡等について先発医薬品の特許権者が差止請求権及び損害賠償請求権を有しないこと、並びに、当該後発医薬品が先発医薬品特許の技術的範囲に属しないことの確認請求は、訴えの利益を欠くとして、東京地裁は訴えを却下した。知財高裁も原判決は相当と判断し、控訴を棄却した(東京地裁令和4年8月30日判決(令和3年(ワ)第13905号)、知財高裁令和5年5月10日判決(令和4年(ネ)第10093号))。

記事全文 »

商標ニュース

知財高裁が、単色の色彩のみからなる商標の登録を拒絶する特許庁の判断を支持した事例

 単一の色彩のみからなる商標の出願が識別力を欠くとして登録拒絶され、これに対する不服審判請求も不成立とされたため出願人が審決の取消を求めた事案において、知財高裁は、当該出願は登録要件を満たさないという特許庁の判断を是認した(知財高裁判決令和5年1月24日(令和4年(行ケ)第10062号))。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁が、特許発明に関し実施品・競合品等を製造・販売しない特許権者の損害の算定において特許法102条2項の適用を認めた事例

 特許権者(原告)は、本件で侵害されたとされる特許権を含め、自らが属するグループ会社内の知的財産権を管理する法人であるが、自らは同特許権に係る発明を実施していない。知財高裁は、同特許権者の間接的な完全親会社による管理・指示の下でグループ全体として当該特許権を利用した事業が遂行されていること、同特許権者は同グループにおける利益を追求するために当該特許権について権利行使をしていること、同グループ内で特許権者の外に当該特許権について権利行使をする主体が存在しないことを理由に、同特許権者が特許権侵害により被った損害の額の算定において特許法102条2項の適用を認めた(知財高裁令和4年4月20日判決(令和3年(ネ)第10091号))。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁が、抗PCSK9抗体特許がサポート要件に違反するとして当該特許を無効と判断した事例

 アムジェンの抗PCSK9抗体特許に対し、本件特許明細書において、①PCSK9との結合に関して参照抗体と競合する抗体であれば結合中和抗体としての機能的特性を有すること、 ②参照抗体が結合を中和するメカニズム等について明記したとはいえないことから、サポート要件違反であるとし、リジェネロンにより請求された無効審判請求を棄却する審決を取り消す判決が出された(知財高裁令和5年1月26日判決(令和3年(行ケ)第10093号))。

記事全文 »

商標ニュース

知財高裁が、「Scrum Master(標準文字)」の商標が「情報技術の使用に関する教育訓練研修」などの役務との関係で商標法3条1項3号に該当することを認めた事例

 Scrum Master(標準文字)についての商標登録(商標登録第6042646号商標)に対し原告が商標法3条1項3号等に該当するとして商標登録無効審判を提起したところ、特許庁は第41類の「情報技術の使用に関する教育訓練研修」などの役務(以下「本件指定役務」という。)についての審判請求は成り立たないとの審決をした。これに対し原告が知財高裁に審決取消訴訟を提起したところ、知財高裁は、Scrum Master(標準文字)は本件指定役務の質(内容)を表示したものとして一般に認識されるものであるとして商標法3条1項3号に該当することを認め、特許庁の審決のうち本件指定役務に係る部分を取り消した(知財高裁令和4年5月19日判決(令和3年(行ケ)第10100号))。

記事全文 »

海外商標ニュース

ミャンマーではいよいよ新商標法が施行され、グランドオープニングの日が4月26日とアナウンスされました。

  ミャンマーの新商標法が2023年4月1日より施行された。
 3月31日付の通知では、出願手続きや審査基準等について示された商標規則が公表され、4月1日付の通知では、4月3日より、ソフトオープニング期間の第2フェーズとして、既に所有権宣言が登録された商標、もしくは、警告通知の掲載等を通じてミャンマーにおける使用を証明できる商標についての、新商標法に基づく再出願、出願費用の支払い、及び、委任状の提出を受け付けることが公表された。
 また、グランドオープニングの日については、2023年4月26日とすることが発表された。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁が、特許権の行使が独占禁止法に抵触し権利濫用にあたるとした原判決を覆した事例

 知財高裁は、トナーカートリッジの再生品に対する特許権の行使が独占禁止法に抵触し、権利の濫用にあたるとした東京地裁判決を覆し、特許権の行使は独占禁止法に抵触するものではないとして、特許権者の差止及び損害賠償請求を認容する判決を下した(知財高裁令和4年3月29日判決(令和2年(ネ)第10057号))。

記事全文 »

商標ニュース

日本国特許庁が不使用取消審判において使用商標と登録商標の同一性を認めなかった事例

 日本で古くから商標登録を取得していたイタリアのパスタメーカーの登録商標(登録番号:第2719036号)に対して不使用取消審判が請求され、権利者は現在使用しているパッケージ数種類を使用商標として提出したものの、日本国特許庁は不使用取消審判で提出された使用商標と登録商標が同一ではないとして取消審決をした(取消2019-300116および取消2019-300222)。
 長年商標を使用していると時代の変化・流行に合わせ商標の微修正が必要となることがあるが、そんなときに不使用取消審判請求を受けると、登録商標と実際の使用商標との間で、書体・図柄・縦横の配置・間隔の大きさ・付加される文字・色彩等々に差異が生じている場合が往々にして起こる。一方、アメリカでは「Tacking」といい、商標権者の使用する商標の態様が僅かに変更された場合であっても変更後の新しい商標について変更前の古い商標の権利を依然として主張することができる場合がある。そのような米国の事例も併せて紹介する。

記事全文 »

不正競争ニュース

東京地裁が、クリスチャン・ルブタンが第三者の、靴底の赤い、黒いハイヒールに対して行った不正競争防止法第2条第1項第1号および同第2号に基づく訴えを棄却した事例

 原告は、フランスのファッションデザイナーであるクリスチャン・ルブタンとその会社(以下「原告ら」という。)で、赤いラッカーコーティングされた靴底を有する高級革靴で知られる。被告は、日本の婦人靴ブランドである株式会社エイゾーコレクションであり、赤い靴底の黒いハイヒールを製造・販売している。
 原告らは、被告のハイヒールの靴底が、原告表示(女性用ハイヒールの靴底にパントン社が提供する色見本「PANTONE 18-1663TPG」(以下「原告赤色」という。)を付したもの)に類似しているとして、被告商品(赤色のゴム素材から成る靴底に金色で「EIZO」のロゴマークが付されている商品)につき、不正競争防止法第2条第1項第1号および同第2号に基づき、その製造・販売の差止め及び損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した。裁判所は、これを認めず、原告らの請求を棄却した(東京地裁令和4年3月11日判決(平成31年(ワ)第11108号)。

記事全文 »

不正競争ニュース

知財高裁が、「オリゴ糖100%」などの表示について品質誤認表示であると認定し、ライバル会社からの合計6500万円以上の損害賠償請求を認めた事例

 実際には、オリゴ糖成分が53.29%の商品について、「オリゴ糖100%」などの表示を使って宣伝を行っていた被告に対し、これが不正競争防止法2条1項20号の品質誤認表示であるとしてライバル会社が損害賠償を求めたところ、知財高裁はこれを認め、合計6500万円以上の損害賠償を命じた(知財高裁令和4年1月27日判決(令和3年(ネ)第10018号)

記事全文 »

著作権ニュース

知財高裁が、ブログに懲戒請求書を掲載した行為に対する著作権侵害の主張は権利濫用にあたると判断した事例

 弁護士Yがブログに反論する目的で自身に対する懲戒請求書のPDFファイルを掲載した行為が著作権侵害であるとして懲戒請求書の作成者Xが争った事件において、東京地裁は著作権侵害を認め、ブログに掲載されている懲戒請求書のPDFファイルの削除を命じたが(東京地裁令和3年4月14日判決(令和2年(ワ)第4481号、令和2年(ワ)第23233号))、同事件の控訴審において、知財高裁は、著作権侵害の主張は権利濫用に当たると判断し、懲戒請求書の削除を命じた地裁判決を取り消した(知財高裁令和3年12月12日判決(令和3年(ネ)第10046号))。

記事全文 »

商標ニュース

日本特許庁が令和4年4月1日付で料金の改定を行います。

 令和4年4月1日施行日の法改正により、特許関係料金、商標関係料金及び国際出願に係る国際調査手数料など、特許庁に支払う手数料を値上げする変更が行われることとなりました。
 商標関係については、手数料の納付のタイミングによって支払うべき手数料が異なる場合があるため、どうぞお気を付けください。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁がパリエット錠の用法・用量に関する特許を無効と判断した事例

 医薬品の用法・用量に特徴がある発明に対し、公開された臨床試験計画(治験プロトコル)に記載された発明および技術常識に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであると判断し、無効審決取消請求を棄却した(知財高裁令和3年6月29日判決(令和2年(行ケ)第10094号))。

記事全文 »

商標ニュース

知財高裁、「マツモトキヨシ」の歌詞を含む音商標が商標法4条1項8号の「他人の氏名」を含む商標に当たらないと判断する。

 原告の出願した「マツモトキヨシ」の歌詞を含む音商標の出願について、知財高裁は、当該音は一般に人の氏名を指し示すものとして認識されるものとはいえないことから、本願商標は、商標法4条1項8号の「他人の氏名」を含む商標に当たるものと認めることはできない、と判断した(知財高裁令和3年8月30日判決〔令和2年(行ケ)第10126号〕)。

記事全文 »

特許ニュース

特許侵害訴訟において、被告が構成要件充足性を「認める」と認否した構成要件について、知財高裁が裁判上の自白の成立を否定した事例

 原告が被告に対し特許権侵害に基づく差止めおよび損害賠償を求めた事件で、被告が、特許発明のある構成要件について充足性を「認める」と認否し、第一審が当該認否を前提として原告の請求を一部認容する判決をした後に、控訴審において被告が当該構成要件の充足性を争った事案において、知財高裁は、自白の成立を否定した上で、当該構成要件は充足されていないと認定し、原告の請求を棄却した(知財高裁令和3年6月28日判決(令和2年(ネ)第10044号))。

記事全文 »

特許ニュース

補正によって追加された構成を備えていない被疑侵害品の販売等について均等侵害を認めた裁判例

 大阪地裁及び知財高裁は、特許出願の段階で補正により新たに追加された構成要件を備えていない被疑侵害品の販売等について、文言侵害は否定したものの、当該補正の内容や出願人から提出された意見書の内容を踏まえ、被疑侵害品は特許請求の範囲から意識的に除外されたものではなく均等の第5要件は充足されていると判断し、そして他の均等の要件も充足されているとした上で、均等侵害を認めた(大阪地判令和3年3月25日(平成31年(ワ)第3273号)、知財高判令和3年10月14日(令和3年(ネ)第10040号))。

記事全文 »

商標ニュース

インターネットオークションサイトで商標権者に無断で複製されたフォントプログラムを出品するに当たり、商標権者の商標と同一又は類似の標章を含む画像を表示する行為について商標権侵害の成立を認め、違法性阻却事由は認められないとして、商標権者によるサイト運営会社への発信者情報開示請求を認めた事案

 原告は、「MORISAWA」及び「モリサワ」の文字からなる各商標について第9類「コンピュータ用フォントの電子的データを記憶した記憶媒体」を指定した各商標権を保有し、「MORISAWA PASSPORT」という名称でフォントのライセンスプログラムを提供しているところ、被告が運営するインターネットオークションサイトで出品者が原告に無断で複製されたフォントプログラムを出品するに当たり、「MORISAWA」の文字を含む標章及び「モリサワ」の文字からなる標章を含む画像を表示していた。これに対して、原告は、原告の各商標権が侵害されたことが明らかであり、出品者への損害賠償請求権の行使のために開示を受けるべき正当な理由があるとして、プロバイダ責任制限法に基づいて、出品者に関する氏名等の発信者情報の開示をサイト運営会社に請求した。東京地裁は、出品画像に含まれる各標章が原告の各商標と同一又は類似であり商品も類似するとして商標権侵害の成立を認め、さらに当該表示行為について違法性を阻却する事情は見当たらず、開示を受けるべき正当な理由もあるとして、出品者の発信者情報を開示する義務をサイト運営会社に認めた(東京地判令和2年(ワ)18003号)。

記事全文 »

特許ニュース

東京地裁、レミッチOD錠2.5μgの後発医薬品の特許権侵害を否定

 特許第3531170号(「本件特許権」)を有する東レ株式会社(「原告」)が、沢井製薬株式会社及び扶桑薬品工業株式会社(「被告ら」)に対し、被告らがそれぞれ製造販売する、原告のレミッチOD錠2.5μg(「原告製剤」)の後発医薬品(「被告ら製剤))が本件特許権に係る発明の技術的範囲に属すると主張して、特許権侵害に基づき、その差止め、廃棄、損害賠償金の支払を求めた事案において、東京地裁は、文言侵害も均等侵害も成り立たないとして、原告の請求を棄却した(東京地裁令和3年3月30日判決(平成30年(ワ)第38504号、平成30年(ワ)第38508号))。

記事全文 »

商標ニュース

知財高裁、多肉植物「ハオルシアの種子」と、登録品種の「ばれいしょ種の種苗」(じゃがいもの種いも)は、商標法第4条第1項第14号の「類似する商品」に当たるとして、商標法第4条第1項第14号に関する初判断を下す。

 知財高裁は、出願商標「粉雪」(標準文字)が、種苗法18条1項の規定により品種登録を受けた「Solanum Tuberosum L.」(ばれいしょ種)の品種の名称である「コナユキ」と類似の商標であって、その品種の種苗(じゃがいもの種いも)に類似する商品(ハオルシアの種子)に使用をするものであるから、商標法第4条第1項第14号に該当し、登録できないと判示した(知財高裁令和2年3月11日判決(令和元年(行ケ)10121号))。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁、バイオ医薬品(新薬)の製造販売承認申請に必要な臨床試験の実施(治験)は、特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当すると判断

 発明の名称を「ウイルスおよび治療法におけるそれらの使用」とする発明に係る特許権者である原告が、その発明の技術的範囲に属するウイルスを用いて治験を行っている被告に対し、当該治験が原告の有する特許権の実施に当たり、原告の特許権を侵害するものであると主張し、同ウイルスの使用の差止めおよび廃棄等を求めたが、知財高裁は、当該治験が特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当するとして請求を棄却した第一審(東京地裁令和2年7月22日判決(平成31年(ワ)第1409号))の判断を維持した(知財高判令和3年2月9日判決(令和2年(ネ)第10051号))。

記事全文 »

特許ニュース

特許権者による特許権侵害に基づく差止等請求は、特許権者による他の行為と併せて全体としてみれば独占禁止法に抵触するものであって、権利の濫用により許されないと判断された事例

被告らは、使用済みとなった原告の製造・販売に係るトナーカートリッジに取り付けられている電子部品であるメモリを交換した上で、トナーを再充填し、トナーカートリッジの再生品を製造し販売していた。原告は、かかる被告らの行為は原告の特許権を侵害するものとして当該行為の差止等を求め本件訴訟を提起した。裁判所は、トナーカートリッジに取り付けられているメモリの書換を制限する措置を原告が敢えて採っていたことを併せてみれば、原告による特許権侵害に基づく差止等請求は独占禁止法に抵触し権利の濫用に該当するものと判断し、原告の請求を棄却した(東京地裁令和2年7月22日判決(平成29年(ワ)第40337号))

記事全文 »

特許ニュース

パロノセトロン液状医薬製剤特許のサポート要件違反との審決の判断に誤りはないと判断された事例

医薬製剤発明に対し、構成要件である「少なくとも24ケ月の貯蔵安定性を有する」が具体的な裏付けをもって記載されているとは言えず、サポート要件違反であるとの審決の判断に誤りはないとして、審決取消請求を棄却した(知財高裁令和2年12月15日判決(令和元年(行ケ)第10136号))。

記事全文 »

商標ニュース

就職支援に関するウェブサービスに「リシュ活」等の標章を使用する行為ついて、当該標章が第35類等の役務に関する登録商標「Re就活」に類似し、商標権侵害に当たると判断された事例

「Re就活」の文字からなる商標について「求人情報の提供」等の役務を指定した商標権を保有する原告が、被告の「リシュ活」の文字からなる標章等を就職支援に関するウェブサービスに使用する行為について、当該商標権の侵害に当たるとして被告の標章の使用差止め等を求め、損害賠償として1億円の支払いを求めた。これに対して、大阪地裁は、具体的な取引の実情も考慮して原告の商標と被告標章とが類似するとし、原告の商標権の指定役務と被告標章が使用される役務とが同一又は類似であるとして、被告標章の使用差止め等を認めた一方で、損害額については請求の一部である44万3919円のみを認めた。(大阪地裁令和3年1月12日判決(平成30年(ワ)11672号))。

記事全文 »

特許ニュース

特許法第102条2項による損害額の算定において、侵害者が得た利益の9割ないし9割5分について推定の覆滅を認めた事例

原告が被告に対し特許権侵害に基づく差止めおよび損害賠償を求めた事例で、東京地裁は、特許法第102条2項を適用しつつ、販売された被告製品の大部分は特許発明にかかる特徴とは別の機能等に特徴に惹かれて購入されたものであるとして、侵害者が得た利益の9割ないし9割5分について推定が覆滅されるとした(東京地裁令和2年9月25日判決(平成29年(ワ)第24210号))。

記事全文 »

特許ニュース

共同出願契約における「権利剥奪」条項の意義を解釈した事例

知財高裁令和2年8月20日判決(令和2年(ネ)第10016号)は、共同出願契約における、他の共有権者の許可なく実施した場合に権利を剥奪するとの契約条項の意義が問われた裁判例であり、実務上の参考になると思われるため、紹介する。

記事全文 »

海外商標ニュース

英国:EU離脱後の移行期間の終了に伴う欧州共同体商標の取り扱いについて再確認を

英国がEUを離脱した後に設けられた移行期間が、2020年12月31日の経過により終了する。移行期間終了の時点において既に登録済みの欧州共同体商標については、移行期間終了後、自動的に同一内容の英国の国内商標登録が付与されるのに対し、移行期間終了の時点において係属中の商標出願については一定期間内に英国で再出願することが必要であるなど、別途の対応が必要となるものもある。移行期間の終了まで残り3ヶ月を切った今、再度、移行期間の終了に伴う欧州共同体商標の取り扱いについて確認しておくことが望ましい。

記事全文 »

海外商標ニュース

ミャンマー:新商標法の施行に伴うソフト・オープニングが2020年10月1日より開始

ミャンマーにおいて、新商標法の施行に伴うソフト・オープニングが、2020年10月1日より開始することが、ミャンマー当局により正式に発表された。ソフト・オープニング期間中は、10月1日より前に、旧制度の下での所有権宣言手続を完了した商標の再出願のみ受理されることになる。再出願に必要な書類は、(1)所有権宣言の写し、(2)新聞に掲載した警告通知の写し、及び(3)委任状であり、委任状については公証が必要となるが、領事認証は不要である。他方、出願後の委任状の追完は認められない見通しである。委任状については今後、ミャンマー当局より書式が公表される予定である。

記事全文 »

特許ニュース

審決取消訴訟において、審判段階の手続違背を理由として審決を取り消した裁判例

知財高裁は、発明の名称を「マッサージ機」とする特許(特許第5009445号)について提起された無効審判(無効2018-800041号)の審決取消訴訟において、審決が明確性要件についての判断を遺脱しているとし、この点の審理判断を尽くさせるため、本件審決は取り消されるべきであるとして、手続違背を理由に審決を取り消した(知財高裁令和2年1月21日判決〔平成31年(行ケ)第10042号〕)。

記事全文 »

特許ニュース

知的財産高等裁判所、最高裁により法令の解釈適用を誤った違法があるとして破棄差戻しを受けた事件について、発明の効果が予測できない顕著なものであると判断する

知財高裁は、本件各発明が引用発明から動機づけられ得たと判断した前訴判決は、予測できない顕著な効果があるかどうかまで判断したものではなく、この点には、前訴判決の拘束力は及ばないとし、本件各発明について、当該発明の効果を当業者が予測できない顕著な効果を有するとして、当業者が容易に発明することができたものと認めることができない、と判断した(知財高裁判決令和2年6月17日〔令和元年(行ケ)第10118号〕)。

記事全文 »

特許ニュース

特許法2条1項の「発明」該当性について否定した裁判例

知財高裁は、発明の名称を「電子記録債権の決済方法、および債権管理サーバ」とする特許出願にかかる発明について、その本質が専ら人為的な取り決めそのものに向けられており、自然界の現象や秩序について成立している科学的法則を利用するものではないから、全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作に当たらないとして、特許法2条1項に規定する「発明」に該当しないと判断した(知財高裁判決令和2年6月18日〔令和元年(行ケ)第10110号〕)。

記事全文 »

特許ニュース

知的財産高等裁判所特別部、特許法102条第1項の逸失利益の推定とその覆滅についての基準を示す

特許第5356625号(「特許権1」という。)、特許第5847904号(「特許権2」という。)を有する一審原告が、一審被告に対し、一審被告が販売等する被告製品(美容器のローラー)が本件各特許権に係る発明の技術的範囲に属すると主張して、特許権侵害に基づき、その差止め、廃棄、損害賠償金の支払いを求めた事案において、原判決は、被告製品の販売は、特許権2を侵害するとして、被告製品の販売等の差止め及び廃棄を認め、一審被告に対する損害賠償請求の一部を認容したが、知財高裁は特許法102条1項についての基準を示した上で損害額についての原審の判断を変更した(知財高裁大合議判決令和2年2月28日(平成31年(ネ)第10003号))。

記事全文 »

特許ニュース

知的財産高等裁判所、CRISPR-Cas9関連特許の特許性を判断する

米ハーバード大とマサチューセッツ工科大が共同運営するブロード研究所のCRISPR-Cas9関連特許を認めなかった特許庁の2件の拒絶審決について、知的財産高等裁判所は、令和2年2月25日、うち1件について審決を取り消し、もう1件については審決を維持した(知財高裁判決令和2年2月25日、平成31年(行ケ)10010号、平成31年(行ケ)10011号)。

記事全文 »

海外商標ニュース

中国では製造のみしか行っていない場合であっても、商標登録を行うことを強くお勧めします

2019年9月末の「HONDAKIT」の判決において、中国最高人民法院は、これまでの「PRETUL」及び「東風」判決における判断(中国国内市場において流通しないOEM製品は、中国国内において出所識別機能を果たすことができないため、商標の使用とは言えず、商標権侵害には当たらない)を踏襲してOEMであるから商標権侵害はない、との判断はせず、OEM品であり、中国国内には流通しないことが想定されるケースであっても、商品に商標が貼り付けられ、出所を識別する可能性があれば商標法上の商標の使用と言え、取引や経済の発展により、中国に逆輸入されたり、中国消費者が海外でOEM品に出くわしたりする可能性も考えられるから、OEMという形態であるから商標権侵害には該当しないと一律に認定することは妥当でないと判示した。

記事全文 »

特許ニュース

独立項の発明の進歩性を肯定する一方、従属項に係る発明の進歩性を否定した裁判例

発明の名称を「はんだ合金、ソルダペーストおよび電子回路基板」とする特許について、知財高裁は、独立項である請求項1に係る発明については進歩性を肯定する一方、従属項である請求項2~8に係る発明については進歩性を否定するという、一見逆に見える判断をした(知財高判平成30年2月14日(平成29年(行ケ)第10121号))。

記事全文 »

商標ニュース

知財高裁、アルファベット2字からなる商標について、使用による識別力の獲得を認め、商標登録を受けることができないとした審決を取り消す

原告は、指定商品を第12類「Motor vehicles.」として、「EQ」のアルファベット2字からなる商標について国際登録出願をしたところ、特許庁において拒絶査定を受けたことから、拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は原告の商標が商標法3条1項5号に該当し、同条2項には該当しないとして請求不成立の審決をした。これに対する審決取消訴訟において、知財高裁は、商標の使用による識別力の獲得を認め、上記審決を取り消すとの判決をした(知財高裁平成31年(行ケ)10004号)。

記事全文 »

海外商標ニュース

ミャンマー:新商標法の施行に伴うソフト・オープニングに向けた準備を進めておくことが望ましい

ミャンマーにおいて、新たな商標法が近日中に施行される予定である。新商標法の施行は2段階に分けて行われることとなっており、1段階目のソフト・オープニングの6ヶ月の期間中は、その期間の開始前に所有権宣言手続を完了した商標の再出願のみ受理される。ソフト・オープニング期間がいつ開始するかは現時点では未定であるが、ソフト・オープニング期間の開始後、なるべく早期に再出願を行うことができるよう、あらかじめ進めておくことが望ましい。また、ソフト・オープニング期間中の再出願を行う予定の商標について所有権宣言手続を完了していない場合には、ソフト・オープニング期間の開始前に、至急、所有権宣言手続を完了しておく必要がある。

記事全文 »

特許ニュース

知的財産高等裁判所特別部、特許法102条第2項および第3項についての基準を示す。

特許第4659980号、特許第4912492号を有する被控訴人が、控訴人ら7社に対し、控訴人らが製造販売する炭酸パック化粧料が本件各特許権に係る発明の技術的範囲に属するなどと主張して特許権侵害に基づく損害賠償請求を行った事案において、被控訴人は特許法102条2項及び同条3項による損害額を主張して、いずれか高額となる方を認容することを求めたところ、原判決は、控訴人らによる本件各特許権の侵害を認めた上で、控訴人らに対する損害賠償請求の一部(合計約1億4000万円)を認容し、知財高裁特別部(大合議)も控訴人らの特許権侵害を認めた上で、特許法102条第2項および第3項についての基準を示し、本件控訴を棄却した(令和元年6月7日知財高裁大合議判決(平成30年(ネ)第10063号))。

記事全文 »

特許ニュース

最高裁、法令の解釈適用を誤った違法があるとして、発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定した知財高裁判決を破棄。

発明の効果が、予測できない顕著なものであるかについては、優先日当時本件各発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができなかったものか否か、当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるか否かという観点から十分に検討することが必要(最高裁令和元年8月27日第三小法廷判決(平成30年(行ヒ)第69号)。

記事全文 »

著作権ニュース

知財高裁において、著作物に係る著作権侵害や不正競争防止法違反が認められない場合における著作物の利用が一般不法行為を構成するのは特段のある事情がある場合に限られるとして訴えが棄却された事例。

SAPIXを運営する株式会社日本入試センターが、SAPIXに通う生徒のためにSAPIXのテスト問題を入手し、その解説本を出版し、又はウェブサイト上で解説するなどしていた株式会社受験ドクターに対し、「SAPIX」または「サピックス」の文字を含む表示の使用の差止め等を求めるとともに、民法709条に基づく損害賠償請求をした事案において、平成30年12月6日、知財高裁はこれらの訴えを棄却した(知財高裁平成30年(ネ)10050号)。

記事全文 »

商標ニュース

「JustSayIt」との商標出願について米国商標審判部がその登録を認めなかった事例。

カナダ人であるCheryl Bauman-Buffone が、米国において、「JustSayIt」を9類と16類に出願したところ、Nike社が2条(d)Likelihood of confusion(出所混同の恐れ)及び43条不鮮明化による稀釈化(Dilution by blurring)に基づき異議申立を行った。最終的に米国商標審判部(Trademark Trial and Appeal Board)は、Nike社の主張を認め、登録を認めなかった(Nike, Inc. v. Cheryl Bauman-Buffone, March 20, 2019)。

記事全文 »

商標ニュース

海外商標制度の新たな動き

本年は、海外の商標制度において、いくつもの大きな動きが予定されています。そこで、主たる2つの大きな動きと、注意すべき点を解説いたします。

記事全文 »

特許ニュース

特許無効審決に対し、共同審判請求人の一部のみを被告として審決取消訴訟が提起された結果、他の共同審判請求人との関係では無効審決が確定したとして訴えが却下された事例。

2名の共同審判請求人が特許無効審判を請求し、特許庁が特許無効審決をしたのに対し、被請求人が共同審判請求人のうちの1名のみを被告として審決取消訴訟を提起したという事案において、知財高裁は、被告とされなかった共同審判請求人との関係では出訴期間の経過により無効審決が確定したとして、訴えを却下した(知財高裁平成30年12月18日判決(平成30年(行ケ)第10057号))。

記事全文 »

不正競争ニュース

東京地裁、公道カートのレンタル業者に対する「マリカー」の標章とコスチュームの使用差止を認める。

任天堂株式会社が、「マリカー」という標章を使用して、ゲームソフト「マリオブラザーズ」や「マリオカート」のキャラクターである「マリオ」、「ルイージ」、「クッパ」、「ヨッシー」の特徴を備えているコスチュームを顧客に貸与して公道カートのレンタルサービス業を営む株式会社MARIモビリティ開発に対し、「マリカー」等の標章、コスチュームの使用差止等を求めた不正競争行為等差止請求事件において、平成30年9月27日、東京地裁はこれらの請求を認める判決を下した(東京地裁平成29年(ワ)第6293号)。

記事全文 »

特許ニュース

東京地裁、機能的に表現された抗体クレームの技術的範囲属否について判断する。

原告バクスアルタインコーポレーテッドおよびバクスアルタゲーエムベーハーが、被告中外製薬株式会社に対し、その保有する特許権に基づき、被告製品(開発コードをACE910、一般名をemicizumabとする、血友病Aの治療を目的とした抗体医薬)の製造等の差止および廃棄を求めた事案において、東京地裁は、平成30年3月28日、機能的に表現されたクレームを限定的に解釈し、原告の請求をいずれも棄却する判決を下した(東京地裁平成30年3月28日判決(平成28年(ワ)第11475号))。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁、明確性要件に違反してなされたと先に知財高裁で判断された特許に関して、訂正後のクレームは明確性要件を充足していると判断する。

発明の名称を「眼科用清涼組成物」とする特許に関し、先の知財高裁での審決取消訴訟判決においては、クレーム中の「平均分子量」との記載が「重量平均分子量」なのか「粘度平均分子量」なのか不明であり同記載は明確性要件を充足していないと判断された。しかし、同判決の確定後になされた訂正請求によりクレームおよび明細書の記載が訂正された結果、今回紹介する、2回目の知財高裁での審決取消訴訟判決(「本判決」)においては、クレーム中の「平均分子量」の記載は「重量平均分子量」であると理解できるとして、同記載は明確性要件を充足しているものと判断された(知財高判平成30年9月6日(平成29年(行ケ)第10210号))。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁大合議、進歩性判断における引用発明の認定について判断基準を提示

化合物が一般式の形式で記載され、当該一般式が膨大な数の選択肢を有する場合には、特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない限り、当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出することはできず、これを引用発明と認定することはできない(知財高裁特別部平成30年4月13日判決(平成28年(行ケ)第10182号、第10184号))。

記事全文 »

不正競争ニュース

東京地裁、折り畳み傘の形態が商品等表示に当たり、被告商品の輸入、譲渡等が不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たるとして、差止め・廃棄及び損害賠償責任を認める

原告が、自らが販売する折り畳み傘の形態が商品等表示に当たり、これと類似する被告商品の輸入、譲渡等の行為が不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に当たるとして、被告による被告商品の輸入、譲渡等の差止め及び被告商品の廃棄並びに損害賠償を求めた事案において、東京地裁は、原告製造にかかる折り畳み傘の形態が商品等表示に当たると判断し、請求の一部を認容した(東京地裁平成30年2月27日判決(平成28年(ワ)第10736号))。

記事全文 »

商標ニュース

特許庁、音楽的要素のみからなる音商標について初の登録査定をしたと発表

特許庁は、平成29年9月26日、音楽的要素のみからなる音商標について初の登録査定をしたとのプレスリリースを行った。今回、登録査定がなされたのは、大幸薬品株式会社の「ラッパのメロディ」、インテル・コーポレーションのサウンドロゴ、およびBMWのサウンドロゴの3件である。特許庁が平成27年4月に新しいタイプの商標の商標の出願の受付を開始して以降、音楽的要素のみからなる商標について登録査定がなされるのは、今回が最初となる。

記事全文 »

特許ニュース

東京地裁、先発医薬品の薬価の引き下げに起因する損害について後発医薬品販売会社の賠償責任を認める

マキサカルシトール製剤を製造販売する中外製薬株式会社(「原告」)が、その保有する特許権に基づき、後発医薬品を販売する岩城製薬株式会社、高田製薬株式会社、株式会社ポーラファルマ(「被告ら」)に対し、後発医薬品の薬価収載により原告の製品の薬価が下落したとして損害賠償請求を求めた事案において、平成29年7月27日、東京地裁は原告の請求を認め、被告らに対し、連帯してその損害を賠償することを命じる判決を下した(東京地裁平成29年7月27日判決(平成27年(ワ)第22491号事件))。

記事全文 »

特許ニュース

最高裁、均等成立の第5要件の「意識的除外」について判断基準を提示

特許の均等侵害の成否が問題となった特許侵害訴訟において、最高裁は、均等成立の第5要件に関して、特許出願時に、特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき、対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず、これを特許請求の範囲に記載しなかったというだけでは、当該構成が特許請求の範囲から意識的に除外されたものには当たらないとの一般論を示した上で、結論として、均等侵害を認めた原判決を維持した(最高裁平成29年3月24日第二小法廷判決(平成28年(受)第1242号))。

記事全文 »

商標ニュース

最高裁、除斥期間が経過した商標権の行使に対する無効の抗弁を否定しつつ、権利濫用の抗弁を主張する余地を認める

無効審判請求の除斥期間が既に経過した商標権の侵害が問題となった事件において、最高裁は、除斥期間の経過後は、原告の登録商標が商標法第4条1項10号に該当することを理由とする無効の抗弁を主張することは許されないとしつつ、原告の登録商標が被告自身の周知商標と同一または類似であるために商標法第4条1項10号に該当することを主張する場合には、除斥期間の経過後であっても権利濫用の抗弁を主張することが許されるとの判断を示した(最高裁平成29年2月28日判決(平成27年(受)1876号))。

記事全文 »

海外特許ニュース

米国:連邦最高裁、消尽論の適用を契約によって排除することを否定するとともに、国際消尽を認める

アメリカ合衆国連邦最高裁判所は、2017年(平成29年)5月30日、特許権の消尽論の適用範囲に関して新たな判決をした。連邦最高裁は、特許権者が製品を販売する際に、購入者に対して当該製品の再使用および再販売を禁止していた場合であっても、当該販売によって特許権は消尽すると判断した。また、連邦最高裁は、特許権者による製品の販売が米国外で行われたとしても、それによって米国特許権は消尽すると判断した。(Impression Products, Inc. v. Lexmark International, Inc.)

記事全文 »

海外商標ニュース

中国:出願時のオフィシャルフィーの値下げ、区分表以外に認められる指定商品・役務の記載の大幅増加 ~この機会に、ぜひ出願の見直しを~

2016年の年間商標出願件数が369.1万件を超え、実に1日に約1万件は商標出願がなされている計算になる中国は、15年連続で世界第一位の商標の出願件数を誇る。中国では、より利用しやすい制度を目指し、昨今より種々の商標制度改革が図られているが、今回、実現した改革の一つがオフィシャルフィーの値下げであり、もう一つは、認められる指定商品・役務の記載の大幅な増加である。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁、存続期間の延長登録を受けた特許権の効力は、処分の対象となった物の実質同一物にも及ぶとした上で、その実質同一物の判断基準を提示

特許権者である一審原告が一審被告に対し、存続期間の延長を受けた特許権に基づいて後発医薬品の生産・譲渡等の差止めを求めた事案において、知財高裁は、存続期間が延長された特許権に係る特許発明の効力は処分の対象となった物と実質同一物にも及ぶところ、処分で定められた「成分、分量、用法、用量、効能及び効果」に対象製品と異なる部分が存在する場合でもあっても、当該部分がわずかな差異または全体的にみて形式的な差異に過ぎないときは、当該対象製品は、処分の対象となった物の実質同一物に含まれるとの一般論を示し、その上で、一審被告の対象製品はそれに該当しないと判断した(知財高裁平成29年1月20日大合議判決(平成28年(ネ)第10046号))。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁、電子ショッピングモール特許を進歩性欠如により無効と判断

原告が被告に対し、原告保有の電子ショッピングモールの管理に係る特許に基づき特許権侵害による損害賠償を請求した事案において、知財高裁は原告特許に関し、進歩性欠如により無効であると判断した(知財高裁平成28年11月24日判決(平成28年(ネ)第10027号))。

記事全文 »

不正競争ニュース

東京地裁、コメダ珈琲店の外観に類似するマサキ珈琲店の使用禁止を認める仮処分を決定

「コメダ珈琲店」を運営する会社が、同店舗に外観等が似ているとして、和歌山市にある「マサキ珈琲店」に対し、店舗建物等の使用差し止めを求めた仮処分事件において、東京地裁は仮処分を認める決定を下した(東京地裁平成28年12月19日決定(平成27年(ヨ)第22042号))。

記事全文 »

不正競争ニュース

知財高裁、展示会へ出展された段階の商品であっても不競法2条1項3号の「他人の商品」として保護の対象となるとした上で、3年の保護期間の始期である「日本国内において最初に販売された日」は展示会出展日であると判断

加湿器の開発者である原告らが、被告が輸入、販売した加湿器が原告らの加湿器の形態を模倣したものであり、その輸入、販売等は不正競争(形態模倣)および著作権侵害に当たるとして、被告商品の輸入、販売等の差止め・廃棄並びに損害賠償を求めた事案において、知財高裁は、原告らの加湿器は展示会へ出展された段階では不正競争防止法第2条1項3号の「他人の商品」には当たらないとした地裁の判断を覆し、原告らの同法違反による損害賠償請求を認めた。他方で、知財高裁は、同法第19条1項5号イの保護期間の始期は展示会出展日であると認定し、それから3年が既に経過しているとして、差止請求を棄却した(知財高裁平成28年11月30日判決(平成28(ネ)10018号))。

記事全文 »

商標ニュース

特許庁、色彩のみからなる商標について初の登録査定をしたと発表

特許庁は、平成29年3月1日、色彩のみからなる商標について初の登録査定をしたとのプレスリリースを行った。今回、登録査定がなされたのは、株式会社トンボ鉛筆の青・白・黒の3色からなる商標、および、株式会社セブン-イレブン・ジャパンの、白・橙・緑・赤の4色からなる商標の2件である。特許庁が平成27年4月に新しいタイプの商標の商標の出願の受付を開始して以降、色彩のみからなる商標について登録査定がなされるのは、今回が最初となる。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁、プロダクト・バイ・プロセス・クレーム最判の適用範囲を限定する判決を相次いで出す

知財高裁は最近、クレーム中に製法が記載されている物の発明について、不可能・非実際的事情の立証が無いにも関わらず、明確性要件を欠くものでは無いとする判決を相次いで出した。その理由付けは判決により若干異なるものの、いずれの判決も、プロダクト・バイ・プロセス・クレーム最判を形式的に適用した場合に生じる不都合を回避するため、当該最判の適用範囲を解釈により限定しようとするものであると評価することができる。

記事全文 »

特許ニュース

東京地裁、通常実施権者の承諾が無いことを理由として訂正の再抗弁を排斥

原告が被告に対し、原告の特許権に基づき、被告製品の差止および損害賠償を求めた事案において、東京地裁は平成28年7月13日、通常実施権者の承諾なしに訂正を行ったことは訂正要件違反であるとして訂正の再抗弁を認めず、特許は無効であるとして原告の請求を棄却した(東京地裁平成25年(ワ)第19418号)。

記事全文 »

商標ニュース

知財高裁、対比される商標から共通の称呼が生じたとしても、外観において明らかに相違し、その相違の程度が顕著であり、観念において比較することができない場合、出所混同のおそれはないとして、全体として非類似と判断

「エリエール\i:na\イーナ」(本願商標)について商標出願をした原告が、「いーな\e-na」(引用商標)と類似するとして特許庁より拒絶査定を受け、不服審判を請求したものの請求不成立審決を受けたことから、その審決の取り消しを求めて審決取消訴訟を提起した事案において、知財高裁は、平成28年1月28日、両商標は全体として非類似であるとして、特許庁の審決を取り消した(平成27年(行ケ)第10171号)。

記事全文 »

特許ニュース

東京地裁、被告製品のメンテナンス行為も差止めの対象になると判断

原告が被告に対し、物の発明にかかる特許に基づき、被告製品の譲渡等の差止めに加え、被告製品に関する部品の交換等のメンテナンス行為の差止めを求めた事案において、東京地裁は平成28年6月30日、被告製品の譲渡等に加えてメンテナンス行為の差止めをも認めた(東京地裁平成27年(ワ)第12480号)。

記事全文 »

商標ニュース

知財高裁、「耳つぼジュエリスト」の標章の使用が役務の出所を想起するものでないとして、商標権侵害を否定した地裁の判断を支持

登録商標「耳つぼジュエリスト」について商標権を有する原告が、被告が自らのホームページに標章「耳つぼジュエリスト」を掲載し、被告が開催する講座の広告を行う行為は商標権侵害であるとして、被告に対して損害賠償を求めた事案において、知財高裁は、平成28年7月20日、かかる標章の使用は役務の出所を想起するものでないとして、商標権侵害を否定した地裁の判断を支持し、原告の控訴を棄却した(知財高裁平成28年(ネ)第10012号)。

記事全文 »

海外特許ニュース

米国:テキサス州裁、弁護士資格を有しないパテント・エージェントについて弁護士・依頼者間秘匿特権を否定

テキサス州第5地区控訴裁判所は、2016年8月17日、弁護士資格を有しないパテント・エージェントと依頼者との間の通信には弁護士・依頼者間秘匿特権は適用されず、ディスカバリーにおいて通信内容の開示を拒否することはできない、と判断した(In re Andrew Silver, No. 05-16-00774-CV)。

記事全文 »

海外商標ニュース

欧州:クラスへディングを指定したEUTMについての宣誓書の提出は2016年9月24日まで

クラスヘディングを指定商品・役務として指定した欧州連合商標(EUTM)についての、指定商品・役務の書換えのための宣誓書の提出期限は2016年9月24日であり、既に残り1ヶ月を切っている。もし、現時点でまだEUTMのポートフォリオについて指定商品・役務の書換えが必要であるか否かを検討していない場合には、早急にその検討を行い、必要であると判断される場合には、早急に宣誓書の提出準備を進めることを強く推奨する。

記事全文 »

特許ニュース

東京地裁、存続期間の延長登録を受けた特許権の効力は、処分の対象となった物の均等物ないし実質同一物にも及ぶと判断

原告が被告に対し、存続期間の延長を受けた特許権に基づいて被告製品の生産・譲渡等の差止めを求めた事案において、東京地裁は平成28年3月30日、存続期間の延長を受けた特許権の効力が及ぶ範囲(特許法第68条の2)について、政令で定める処分の対象となった物のみならず、その均等物ないし実質的に同一と評価される物の実施行為にも及ぶと判示した上で、被告製品はこれに該当しないと判断し、結論として原告の請求を棄却した(東京地裁平成27年(ワ)第12414号)。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁、物品売買契約に規定された知的財産権に関する紛争解決条項に売主が違反したとして、買主が売主に対して損害賠償請求権を有すると判断

物品売買契約に基づいて製品を売主から購入した買主が、当該製品に関して特許権者に対して支払ったライセンス料につき、当該契約の知的財産権非侵害保証条項および知的財産権に関する紛争解決条項に基づく売主に対する損害賠償請求権の存在を主張した事案において、知財高裁は平成27年12月24日、売主に対する損害賠償請求権の存在を一部認める判決をした(知財高裁平成27年(ネ)第10069号)。

記事全文 »

海外商標ニュース

米国(商標):ニューヨーク連邦地裁、ルイ・ヴィトンを模したキャンバストートバッグはフェア・ユースであると判断

ルイ・ヴィトンのかばんを思わせるようなデザインを組み込んだキャンバストートバッグの販売に関し、ニューヨーク州南地区連邦地裁は、2016年(平成28年)1月6日の判決において、当該バッグはパロディでありフェア・ユースの範囲内であると判断し、ルイ・ヴィトン社の商標権侵害の主張を排斥した(Louis Vuitton Malletier, S.A. v. My Other Bag, Inc., 14-CV-3419)。

記事全文 »

海外商標ニュース

インド(商標):インド商標庁、2016年3月に極めて多数の商標出願を放棄扱いとする

インド商標庁が2016年3月に極めて多数の商標出願を放棄扱いとしていたことが、4月になり判明した。その中には、インド商標庁が誤って放棄扱いとした商標出願も存在するのではないかと指摘されており、インド商標庁が意見陳述の機会を設けている他、デリー高等裁判所が商標出願を放棄扱いとすることを停止する命令を出している。事態は現在も流動的であるが、インドにおいて商標出願をしている出願人は、現地代理人に連絡して、自己の商標出願が適切に扱われているか否かを確認することが推奨される。

記事全文 »

海外商標ニュース

CTMの規則改正:2016年3月から早期にCTMポートフォリオの見直しを

これまで、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)において、欧州共同体商標(CTM)にかかる規則の見直しが長らく行われてきたが、いよいよ、2016年3月23日より改正規則が施行されることとなった。
規則改正には様々な事項が含まれるが、その中でも、(1) 3区分までの費用が同一であった出願・更新費用の費用体系の廃止、(2) ニース分類におけるクラスへディングを指定した商標の取扱いの変更、並びに、(3) その他の運用面の変更、の3点については、CTMを既に保有し、あるいは今後出願を検討している日本企業にとっても重大な関心事であると考えられる。
そこで、本ニュースレターでは、これらの改正点の概要と、改正に伴って検討すべき対応策について解説する。

なお、本ニュースレターにおいては、CTM (欧州共同体商標)、OHIM (欧州共同体商標意匠庁)という記載を一貫して用いるが、2016年3月23日の改正規則の施行以降は、それぞれEUTM (European Union Trade Mark)、EUIPO (European Union Intellectual Property Office)と呼ばれるようになる。

改正CTM規則のポイント(1): 費用体系の見直し - 3区分目まで同一料金である費用体系の廃止

現在、CTMに関しては、出願時においても、更新時においても、3区分目までは同一料金という費用体系である。
これに対し、改正規則が施行される2016年3月23日以降の出願からは、区分ごとに増加するようになり、3区分以上の出願を行う場合、3月23日以降は費用が現行より高額になる。他方、更新に関しては、全面的に料金の値下げとなる。

記事全文 »

改正CTM規則のポイント(2): ニース分類におけるクラスへディングを指定した商標の取扱いの変更

CTMに関しては、2012年のIP Translator判決以降、ある区分のクラスヘディングのみを指定することで当該区分に属する商品・役務を幅広く包含する、ということができなくなった。今回の改正規則により、今後は更に、2012年6月22日よりも前の出願にかかる商標に関しても、クラスヘディングのみを指定した商標については、当該指定商品・役務の書換をしない限り、原則として指定された文字通りの商品・役務しか含まないものと解されるようになる。そのような事態を回避するためには、2016年9月24日までに宣誓書をOHIMに提出する必要がある。

記事全文 »

改正CTM規則のポイント(3): その他の運用面の変更 - 国際登録出願経由の出願に関する異議申立期間の短縮、サーチレポートの廃止、各国商標庁における取消審判・無効審判制度の創設

現行制度の下では、CTMの異議申立期間は、国際登録出願を経由した場合には出願公告の日より6ヶ月後からの3ヶ月間で、公告日から数えると9ヶ月となっている。改正規則の施行後は、WIPO経由の出願の場合には公告日より1ヶ月後からの3ヶ月間で、4ヶ月となる(異議申立期間の短縮)。
現行制度の下では、全てのCTM出願に対して自動的にOHIMからのサーチレポートが出願人に送付されるが、改正規則の施行後は自動的には送付されなくなり、出願時に指定する必要がある(サーチレポートの廃止)。
従来、欧州の一部の国においては、登録商標の取消や無効に関しては裁判所に申し立てなければならなかったが、今後は全ての国において、商標庁における取消審判や無効審判制度を設ける必要が生じる(各国商標庁における取消審判・無効審判制度の創設)。

記事全文 »

特許ニュース

知財高裁、インターネット上のショッピングモール内の店舗で販売される商品について、モールの運営者に対する差止請求を否定

インターネット上のショッピングモール内の店舗で販売される製品が特許侵害品であるとして、特許権者がモールの運営者に対して当該製品の販売差止等を求めた事案において、知財高裁は平成27年10月8日、モール運営者が当該製品を販売しているとは認められないとして、特許権者の請求を棄却した(知財高裁平成27年(ネ)第10097号)。

記事全文 »

海外商標ニュース

英国(商標):CTMの「真正な使用」について、1ヶ国のみの使用では十分でないと判断

英国のIPEC (Intellectual Property Enterprise Court)は、2015年(平成27年)6月29日、Community Trade Mark(CTM, 欧州共同体商標)の登録を維持するためには、2か国以上のEU共同体の加盟国において商標を真正に使用することが要求されると判断した([2015] EWHC 1773 (IPEC))。

記事全文 »

海外著作権ニュース

米国(著作権):連邦控訴裁判所、グーグルによる書籍のスキャン事業はフェア・ユースの範囲内であると判断

米国連邦第2巡回区控訴裁判所は、2015年(平成27年)10月16日、グーグルによる、書籍をスキャンして内容の検索を可能にするサービスを提供する事業「グーグルブックス」について、かかるスキャン事業は米国著作権が規定するフェア・ユースの範囲内であり、著作権侵害とならないと判断した(Authors Guild v. Google, Inc., 13-4829-cv)。

記事全文 »