ミャンマーにおいて、新商標法の施行に伴うソフト・オープニングが、2020年10月1日より開始することが、ミャンマー当局により正式に発表された。ソフト・オープニング期間中は、10月1日より前に、旧制度の下での所有権宣言手続を完了した商標の再出願のみ受理されることになる。再出願に必要な書類は、(1)所有権宣言の写し、(2)新聞に掲載した警告通知の写し、及び(3)委任状であり、委任状については公証が必要となるが、領事認証は不要である。他方、出願後の委任状の追完は認められない見通しである。委任状については今後、ミャンマー当局より書式が公表される予定である。
ミャンマーでは、2019年1月に新たな商標法が成立した。これまで、ミャンマーには近代的な商標登録制度が存在せず、代わりに、所有権宣言(Declaration of Trademark Ownership)という手続によって商標の保護が図られてきた。今回、新商標法が施行されることにより、ミャンマーにも近代的な商標登録制度が導入されることになる。
旧制度の下での所有権宣言手続によって保護されてきた商標について、新商標法の下で優先的な保護を受けられるよう、新商標法の施行は、「ソフト・オープニング」と「グランド・オープニング」の2段階に分けて行われる。
ソフト・オープニング期間中は、この期間の開始前に所有権宣言手続を完了した商標(同一の出願人による、同一の指定商品・役務についての同一の商標)の再出願のみ受理される。ソフト・オープンニングが終了すると、グランド・オープニングが開始し、何人も、新規の商標について新商標法の下で出願することが可能となる。
ソフト・オープニングの開始日については、当初は2020年1月中であると予想されていたが、実際には1月中にはソフト・オープニングは開始せず、開始が遅れていた。その後、ソフト・オープニングについての新たな情報が無い状態がしばらく続いていたが、2020年8月28日、ミャンマー当局より、ソフト・オープニングが2020年10月1日より開始することが正式に発表された。
再出願に対して付与される出願日は、新商標法の施行日と同一の日(具体的な日付については後日発表)であり、また、従来の所有権宣言制度の下での優先日は、再出願にも適用される。
ソフト・オープニング期間中に商標の再出願を行うために必要な資料・書類については、商標および指定商品・役務、出願人の名称・住所といった情報の他、(1)所有権宣言の写し、(2)新聞に掲載した警告通知の写し、及び(3)委任状が必要である。
このうち、委任状については公証が必要となるが、領事認証は不要である。他方で、出願後に委任状を追完することは認められない見通しであり、出願前に、公証役場で公証された委任状を用意する必要があると考えられる。現時点では、委任状の書式についてはミャンマー当局から公表されておらず、ソフト・オープニングの開始前に公表される予定である。
また、再出願の際のオフィシャルフィーについても、現時点ではミャンマー当局から公表されておらず、ソフト・オープニングの開始前に公表される予定である。