令和5年4月6日号(臨時号)

海外商標ニュース

ミャンマーではいよいよ新商標法が施行され、グランドオープニングの日が4月26日とアナウンスされました。

 ミャンマーの新商標法が2023年4月1日より施行された。
 3月31日付の通知では、出願手続きや審査基準等について示された商標規則が公表され、4月1日付の通知では、4月3日より、ソフトオープニング期間の第2フェーズとして、既に所有権宣言が登録された商標、もしくは、警告通知の掲載等を通じてミャンマーにおける使用を証明できる商標についての、新商標法に基づく再出願、出願費用の支払い、及び、委任状の提出を受け付けることが公表された。
 また、グランドオープニングの日については、2023年4月26日とすることが発表された。

 2020年10月1日より始まったソフトオープニング期間の第1フェーズ期間において既に再出願を行った商標については、当時は商標規則がまだ固まっていなかったため、出願費用や委任状の様式についての詳細が定まっておらず、これらの手続きが保留となっていたが、残る公証済委任状の提出と出願費用の支払いをこれから指定される期限までに完了すれば、グランドオープニングの日が出願日となり、新商標法の下において、最先の同一の出願日が付与されることになる。公証済委任状及び出願費用の支払い期限については、今後アナウンスされる予定ではあるが、商標法施行が決まってからの動きがとても速かったことに鑑みると、いずれにしても近いうちに期限が設定されるものと予想されるため、委任状への公証含め、なるべく早めにしかるべく手続きを進められることをお勧めする。
 なお、現在のソフトオープニング期間の第2フェーズにおいては、既に委任状のフォーマットやオフィシャルフィーが定められたので、公証済みの委任状、オフィシャルフィー含め整えた形で出願することが求められることになる。また、ソフトオープニング期間における優先的地位の付与は、新商標法の施行までの間における、既存登録及び既に使用されている商標が対象であるため、施行日が4月1日となった今、出願の対象はこれより前の既登録・既使用商標となることにも注意が必要である。                  

おまけ:中国でも大きな改正の動きが


 本年1月13日に中国国家知識産権局より公表された商標法改正草案が大きな話題を呼んでいる。パブリックコメントの募集が2月に終わったばかりの段階であり、反対意見の多い改正案も複数あるということで、実際に改正案通りの内容で施行となるかはまだまだ不透明であるが、既存の制度を大きく変更するような改正内容が大きく盛り込まれている。
 主な改正案としては、馳名商標保護の強化、重複登録の禁止、悪意商標出願・登録への対策強化、公告期間の短縮、異議申立による不登録決定に不服がある場合、不服審判ルートがなくなり、直接裁判所に出訴することが求められるようになる、無効宣告及び取消決定の効果として、登録商標移転の裁定が下される制度の新設、商標登録後、5年毎に登録商標の使用状況についての説明を求められる、といったものが盛り込まれている。
 使用を目的としない商標を大量に出願するといった状況に該当するようなケースでは、法律に規定されていない現在も既にこれを理由に拒絶がなされており、同時期に大量出願を行う場合は注意が必要である。全く異なる区分に多数出願する等、使用を目的としない悪意出願の疑いがあるとして審査意見書を受領した場合は、出願の必要性を説明することで認められるケースもあるが、実際に困難に直面している日本企業もある。拒絶を回避するためには、同時に数多くの出願を行わず、段階的に出願する等、検討する必要がある。
 中国では、現状3,000万件以上の商標登録があり、その中には使用されていない商標が多く、後願者の商標選択を圧迫する状態にあることが問題視されている。同時に、使用を目的としない悪意ある出願も従来より問題視されてきており、これらの問題への対策をより強化し、より実効性を持たせるという意思が見える。
 大きな改正となる点については、まだこれから議論が続く模様で、今後の動向を注視していく必要がある。

文責: 山崎 理佳(カリフォルニア州弁護士)