平成28年3月4日号(臨時号)

海外商標ニュース

改正CTM規則のポイント(1): 費用体系の見直し - 3区分目まで同一料金である費用体系の廃止

現在、CTMに関しては、出願時においても、更新時においても、3区分目までは同一料金という費用体系である。
これに対し、改正規則が施行される2016年3月23日以降の出願からは、区分ごとに増加するようになり、3区分以上の出願を行う場合、3月23日以降は費用が現行より高額になる。他方、更新に関しては、全面的に料金の値下げとなる。

1. 出願時

CTMの場合、現行は、3区分目までは出願にかかるオフィシャルフィーが同額となっており、区分を追加しても出願費用は増加しない。このシステムの弊害として、本来であれば1区分だけの出願で足りたにもかかわらず、費用が増加しないことから念のため3区分出願しておく、といったケースが見受けられ、各区分における登録商標の総数が不必要に増えるという事態を招いたことが挙げられる。

2016年3月23日の改正規則施行以後は、この料金体系が廃止され、1区分ごとに費用が増加するようになる。
また、下記表に示すとおり、1区分を指定する場合の出願費用は改正後の方が安く、2区分を指定する場合には現行と同額となるが、3区分以上を指定する場合には、むしろ現行よりも高額となる。従って、一出願で3区分以上に跨る商品・役務の指定を検討している場合には、新しい費用体系の施行前、すなわち、2016年3月22日までに出願した方が、費用を安く抑えることができる。

表1

2. 更新時

他方、更新時については、出願時と同様、1区分ごとに費用が増加するような費用体系となるが、価格自体は全面的に値下げとなる。
ただし、改正前の更新費用が適用されるか、それとも改正後の更新費用が適用されるかは、商標登録の存続期間満了日が基準日となる。2016年3月23日より前に存続期間が満了する商標については、改正後の費用体系が適用されることになり、たとえ、改正規則の施行前に更新手続きが行われた場合であっても、存続期間満了日が2016年3月23日以降である場合には、差額がOHIMより返還される。逆に、存続期間満了日が2016年3月23日より前である場合には、3月23日以降に更新手続きを行ったとしても、従来の費用体系が適用される。従って、更新手続きに関しては、特段注意すべき点は無いと考えられる。
表2


従って、今回の改正規則の施行に伴う出願・更新費用の費用体系の変更に関して特に注意すべき点は、近日中に3区分以上を指定してCTMの出願をすることを検討している場合には、2016年3月22日までに出願手続きを行った方が安く済む、という点であろう。

(文責: 山崎理佳(カリフォルニア州弁護士))